なんちゃってアイボリー計画

バグパイプに限らず、昔から楽器の装飾には象牙が利用されていました。
ワシントン条約で象牙の輸出入が禁止されるまでは、
バグパイプの殆どのメーカーは象牙を使ったグレードをリストに載せていました。
今となっては象牙のパーツがあるバグパイプを手に入れる事は不可能に近いですが、
条約以前に製造されたという証明書があれば輸出入ができると聞いたことがあります。
税関での判断にもよるのでしょうが、たとえそれがあったとしても大丈夫かどうか不安がつきまといます。

昔からバグパイプを楽しんできたご年配?の方や、条約執行前にパイプを買った方の中には象牙を使ったパイプをお持ちかもしれません。
象牙のパイプとは別に「イミテーション・アイボリー」を使ったグレードも昔から存在しましたが、
それは「Catalin」という材質ではじめは白いのですが、時間と共に黄色く変色してさらに濃いオレンジ色っぽくなります。
この「黄色いパイプ」自体クラシック的なので、それだけでも貴重です。

現在、イミテーション・アイボリーと呼ばれる装飾は殆どのメーカーがリストに載せていますが、
メーカーによってその材質・色・リアル度に差があります。
中にはあたかも象牙の様な模様が、プラスチックの成型段階で既に入っているものもあります。
材質は硬いものから硬質ビニールっぽいもの、色は肌色から白っぽいものなど様々で、
質感もホンモノっぽいものから、いかにもプラスチックというようなものまで存在します。
また、大きく欠けやすいものから、欠けるとそこの部分が粉っぽくなるものもあります。

ついついこだわってしまうKoiwaiは、イミテーション・アイボリーをいかにそれっぽくできないか
昔から試行錯誤を楽しんできました。
最近、「これはいけるかも?」という面白い塗料を見つけたので早速試したところ、
結構これが良かったのです。しかも割りと簡単にできました。

特に均一な色具合のイミテーション・アイボリーの装飾が入ったバグパイプをお持ちの皆様、
フェラル・マウント・リングキャップ・マウスピースに施せば、マイ・パイプに表情が出てきますよ~!
気軽にできる「なんちゃってアイボリー計画」、ぜひともオススメです。

あくまでもKoiwai流なので、もっと良い方法があるに違いありませんが、
材質が脆いパキスタン製のプロジェクティング・マウントを例にご紹介したいと思います。


↑左からパキ製プラ、比較するためにR.G.Hardie製象牙、McLeod製象牙を並べました。
並べてみると結構寸法が違うんですねぇ。
パキ製のマウントは皿が薄くてエッジが鋭いので、少し丸くすることにしました。

↓各マウントのアップです。

パキのマウント(加工前)


ハーディ


マクロード

まずは基本の下地作りとして、パキのマウントをヤスリとサンドペーパーで整形します。
Koiwaiは機械を持っていないので、手作業でなるべく均一になるように削り込み、
形が整ってきたらサンドペーパーで仕上げます。最後にコンパウンドで光沢が出るまで磨きます。↓

次はKoiwaiが気に入った「うるし」の塗料でペイントします。
地元の釣具の「上州屋」さんで見つけました。
はじめからグロス仕上げができるので、象牙風には持ってこいです。↓

コツはいきなり分厚く塗らないことですかね。
最初は専用薄め液でシャバシャバ状態にして、大まかに大きく伸ばしながらサッと塗ります。
すかさず筆を変えて、色の変化をつけたい部分に違う色を薄く重ねます。
ポイントは、極力塗料を絞りとってから塗ることです。
ムラや埃が付いた場合は、薄め液だけの筆でササっと拭き取ります。
あくまでも透明感を残しつつ、既に塗った色を引き算する感覚で筆を走らせます。
一番重要なのは、濃くさせないこと、やり過ぎないことです。
あとは、コントラストが強くならないように微妙な明度差に抑えることですかね。
「殆ど変わってねーゾ!」と言われてしまうかもしれませんが、
加工前と比べると少しはそれっぽくなったのではないでしょうか?↓

アクセントとして、ほんの僅か欠けたような表現をしても面白いかも知れません。(エッジの黒っぽい部分)↓

ペイントはまだ乾ききっていませんが、完全に乾いたら塗料でできた表面の凸凹を#1500くらいのサンドペーパーを使って軽~くなでます。最後にまたコンパウンドで軽く仕上げて終了です。

究極の合成樹脂が登場すればこんなことしないで済むのですが…
でも、いろいろ世話がやけるからバグパイプは面白いのかも知れませんね。(笑)

2件のコメント

  1. Iさん
    コメントありがとうございます。
    完成度、決して高くないですよー。
    でも褒めていただき嬉しいです!
    私がお伝えしたいのは、これするだけで本当に雰囲気がアップするって事です。
    アクリルのプラカラーよりも食いつきが良いのですよ。それに、うるしといっても特に手はかぶれませんでしたよ。
    Iさんの娘さんのリングキャップへもお化粧してあげてくださいね。

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