パーラーパイプへのシーズニング

定期講座でも使ってきたヘンダーソンのパーラーパイプですが、なんとなく空気が抜けるのが早くなってきました。ついつい手を抜いて?しばらく「シーズニング」をやっていませんでした。ハイランドパイプとは違い、大きさ的に小さくて室内で気兼ねなく吹けるので、かなり使用頻度は高かったのです。

シーズニングとは、革製のパイプバッグの内部にオイルを浸透させることで、革の毛穴や縫い目の隙間を塞ぎ空気漏れを防ぐためのものです。
シーズニングオイルはクリーム色の液体で、常温だとドロッとしていることが多く、使う時はボトルごとお湯に浸けて温めます。
そうすることでオイルがサラサラになり、温かいこともあってバッグ内部の皮に染みこんでいきます。
羊などの動物の脂肪や防腐剤、その他いろいろ混ざった得体の知れない液体で、ボトルのキャップを開けた時はいつも中身を見入ってしまいますね。(笑)

一番馴染みのあるのはR.G.Hardieの「AIR TIGHT」で、以前は缶入りでした。
缶入りの場合、使い残しをしばらく使わないと中身が金属と反応してオイルの色がどす黒くなったものでしたが、今では合成樹脂の容器になったので安心です。他のメーカーは使ったことがないですが、どれも同じような感じです。中には科学的に作ったような透明のものもありますが、脂ような臭いはしないのでこれもオススメです。(右側のもの)パキスタン製の大きなボトルに入ったものもありますが、今一つって感じでしたね。

でもこのオイルの臭い、慣れてはいますが未だに好きになれません。昔ながらのバッグを使っているパイパーには馴染みの臭いで、“スコットランドの香水”とも呼ばれています。(笑)これを使っているバグパイプは、ケースを開けただけでシーズニングオイルの香りがしたものです。まぁ、この臭いがあるからこそバグパイプらしいとういうことも言えるのですが…

以下Koiwaiのやりかたです。

まずは各パイプをストックから外し、バッグカバーを脱がせます。カバーは面倒くさがらずにちゃんと外した方が無難です。そういう時に限ってカバーにオイルを垂らしてしまったりするのです。そして、ブローパイプストック以外のストックにゴム栓をしっかり差し込みます。

次に洗面器などに熱めのお湯を用意して、ボトルが半分~2/3くらい浸かるまでお湯を入れます。できればキャップは開けておいた方が良いかもしれません。今回は残り少ないボトルを使ったので、バッグに入れる直前まではキャップをしたまま浮かせておきました。

オイルがサラサラになってきたら、じょうごなどを使ってブローパイプストックからオイルを流し込みます。一気に入れると溢れかえる事があるので少しずつ…入れるオイルの量はバッグの乾き具合・大きさにもよりますが、Koiwaiは1回あたり1/4~1/3くらい入れています。 入れ終わったらしっかりゴム栓をします。

オイルが冷えないうちにすかさずバッグを揉みほぐします。一度全体に行き渡るようにしてから、特に縫い目周辺は念入りに細かく揉みます。


3~4分もやれば十分でしょう。最後はぞうきん搾りのようにねじってしまってもOKです。この時栓をしっかりやっていないと、空気の逃げ場がなくなった場合に栓がスポンと抜けて、中の液が飛び散るので注意してください。

次にブローパイプをさして空気を送り込みます。この時も栓がしっかりとついているか確認します。バッグがパンパンになるまで膨らませ、吹き口を指で押さえて空気が出ないようにします。これをすることによって革が伸び、シーズニングオイルが毛穴に浸透するのを助けます。一応確認のため、バッグに耳を当てて空気が漏れていないか微かな音と風を感じ取るようにします。時間が経つとバッグ内の空気圧が若干弱くなってくる場合があるので、その時はもう一度ブローパイプから空気を目一杯入れます。

ここまでやって空気が漏れていないようでしたら、少しだけ空気を抜いてチャンターストックが下になるように吊るします。

吊るすためのものは、普通のハンガーでもズボン用のハンガーでも何でも構いません。
ハイランドパイプの革袋の場合、通常お尻に麻ひもの輪っかがあるので、そこに何かを通して引っ掛ければ良いでしょう。その場合は敢えて空気を抜かなくても良いでしょう。

この次にバッグ内の余分なオイルを出すわけですが、決して気持ちの良いものではないので捨てる場所には各自責任をもってやりましょう。(笑)
3時間くらいまたは一晩そのままにして完全に出し切らせます。
各ストック内にオイルが回っているので、ウェスか新聞紙で丁寧に拭き取ります。ゴム栓も洗剤で洗います。
あとは、バッグカバーを被せて各パイプを組み込めば完了です。
これでしばらくは大丈夫でしょう。

今回はパーラーパイプだったので楽でしたが、やっぱりシーズニングって「古き良き時代」を感じますね。

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