アフリカン・ブラックウッドのひび割れ

先日、山形のSさんから「またひびが入っちゃいました」と言われました。
見てみるとテナー・ドローンのひとつに2ヶ所、4~5cmずつクラックがありました。
今回2度目ですが、深さはそれ程でもなく特に演奏に支障をきたすものではありません。
一応応急処置を施しましたが、ひび割れが出るのはそれなりの原因があります。

Sさんのパイプはイギリス人から買ったアフリカン・ブラックウッドの中古ですが、
それほど古いものではなく割と新品に近いものです。
前々からオイルによるケアは伝えてあったのですが、
Koiwaiが判断する限り長い間ケアしていなかった事がわかりました。
特に各ストックのボア内は油気がまったくなく、「白く」なっています。
他の部分の内部もカサカサしていて、外側表面も潤いがありません。
アフリカン・ブラックウッドはそれ自体ある程度油気をもってはいますが、
必要に応じて潤いを与えないと乾燥してカサカサになってしまうのは、
人の肌と同じです。人の手だってひどい場合アカギレになるのですから…

特に冬場は乾燥が激しいので木自体も縮みます。
湿気のある空気に触れて濡れ、乾いては濡れ…
更に怖いのがパイプに対する急激な温度差です。
パイプを凍えるような寒い外から、暖房が効いたポカポカの部屋に持ってきたり、
真夏に冷房がガンガン効いた涼しい部屋から、炎天下の車内に入れたり…
炎天下の車内は特に危険です。人だって死にますから!
また、アフリカン・ブラックウッドのプラチャンも、
内部と外部の急激な湿度差と温度差によっても割れる場合があります。
実際2度ほど経験しました。

日頃殆どケアしていないパイプは割れるリスクが高まりますので、
時々はオイルで潤いを与えてあげてください。

オイルですが、植物系の「固まらない」ものが良いです。
時に仕上げなどで「亜麻仁油」や「桐油」など薄く擦り込む事もありますが、基本的にはこれらは使いません。
適しているのは
◎アーモンドオイル
◎椿油
◎ボアオイル(楽器店など)
◎薬用オリブ油
◎グレープシードオイル
などですが、特別高額なものでなくとも十分です。なるべく酸化に強いものが良いでしょう。
緊急時はサラダオイルでもOKですが、Koiwaiは気分的に試したことはありません。

オイルが十分染みこんだパイプであれば特に気にする事ではありませんが、
特に出来たてカサカサの新品をお持ちの方・殆どケアした事がない方は、
オイルを塗ってすぐ拭き取るのではなく、2~3回たっぷりと塗ったくった後、
何日か木がオイルを吸い込む時間を与えても良いかと思います。

パイプに限らず大切に扱えばそれに応えてくれますので、日頃からいたわってあげてください。
もしひび割れしてしまった場合はリペアしますので、Koiwaiに言ってください。

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