第3弾?連続でのパキ製パイプの登場です。
先日、S樣よりパイプのメンテナンスの依頼があり、一式送られてきました。
荷を開けて取り出してみると、ローズウッド?と称される一般的なタイプでした。
パキのパイプは一部ブラックウッド製もありますが、大体においてローズウッド?が主流です。
ローズウッド?でも更に仕上げに違いがあり、黒くペイントして一見ブラックウッドに見立てたタイプと、
若干色付きのニス仕上げに分かれます。
パキスタン国内のいくつものメーカーから、バグパイプやその他の楽器や関連品が世界に向けて大量に輸出されています。
パキ製パイプの形状・材質・仕上げにおけるフォーマット?みたいなものはあるものの、細かな違いがあるように感じます。
S樣のパイプを見て驚いたのは、木部にはニスなどが塗られていないという事でした。
今まで私が見てきた中でブラックペイントではないタイプは、木部の表面処理をしっかりやらないままコームなどの溝が埋まるほど木部にたっぷりとニスが吹き付けられていたのです。
しかしS樣のパイプは、木部表面がある程度ポリッシュされているのです!
ニス処理されていない分妙に落ち着いた雰囲気で、この材質には合っているように思えます。
象牙を模したプロジェクティングマウントのプラの材質は一般的なパキパイプと同じですが、マウスピースはポリ製となっていて強度があります。これは大きな改善点の1つです。
あと驚いたのはチャンターです。普通ローズウッド?のものにはチャンターの底辺にお皿状の装飾が付いているのですが、「no sole」というソールが無いタイプで、ハイランドバグパイプではすっかり主流となっています。
このパイプも同様に加工されていて、形状もなんだかDavid Naill製のそれに見えます。
ただ残念なのが、指穴に対する加工方法です。恐らく職人さんが1つひとつボール盤か何かであけたのでしょうが、微妙にずれてしまっています。ここは1度に出来る機械と治具を用いるべきですね。
あと小さな事ですが、チューニングピンの両端に近い部分に装飾なのか、動かないようにカシメた跡なのか何かで押した加工がされています。
またニッケルメッキされたメタル製のリングキャップには、2箇所虫ピンのようなもの(真鍮製?)を打ってあります。これはニカワなどで固定するのを省いたのかもしれません。どれも打ち跡がついてしまっているので、職人さんにはもう少し神経使って欲しかったですね。
あと少し嬉しかったのが、バッグカバーです。タータンの柄は「Hunting Stuart」なのでしょうか?
ウールの生地もしっかりとしていて、裏地も付けられています。おまけにパキスタン製であるというタグまで付けられています。
さてメンテナンスですが、木部(内部)へは“Koiwai特製オイル”をたっぷりと与えました。
このパイプ、相当潤いを欲していたのかあげてもあげてもすぐに乾いてしまいます。
表面には刻み目が埋まらない程度に、薄めたリンシードオイルを時間をおいて3度擦り込みました。
生き生きしているようで木目もわずかながらハッキリしてきました。
バッグは皮製ですが、縫い合わせではなく接着剤による貼り合わせです。
各ストックの根本からの空気漏れは無かったので、そのまま温めたシーズイングオイルを注入して革袋内部を入念に擦り込みます。
途中、貼りあわせ部分からの空気漏れを発見。これは後で補修することとしました。
余分なシーズニングオイルを流している間に、各接合部の噛み合わせの調整です。
イエローヘンプとブラックヘンプ、それにテフロンテープやグリスの出番です。
パイプの職人さんがもう少し丁寧に各パイプのボア内をポリッシュしてくれると、接合部同士がもっとスムーズになるのですが…
あと依頼されていた通りにマウスピースを切断しました。形を整え、磨いてからプロテクターをかぶせます。
マウスピースからバッグまでの距離が短くなったので、吹くのが楽になるでしょう。
頃合いを見てバッグの補修をしましたが、補修箇所と面積が小さかったので前回の中古と比べて楽でしたね。
最後はドローンが綺麗に見えるようにコードを結び、チャンターにポリッシュ&オイリングをして終了しました。
Iさん
オイルを塗り込むとさすがに美しくなりますね~
パキスタン製も手を入れてあげれば
老舗メーカーなんかとはまた違った
パキスタンのお国柄のような味も感じられるし
悪くないように思えますね。
また最後に手を入れてあげて自分で仕上げてあげるのも
一つの楽しみ方として考えられるかもしれませんね?
パキスタン製パイプのメンテはいつも面白いです(^^)
koiwai
Iさん
コメントありがとうございます。
この木はオイルにとても反応します。サクラの木だと殆ど変化しませんが、導管が割と太いのも手伝ってか妙に透明感が出てきます。あれから何度もオイルを与えていますが、吸いっぱなしで困ります。(笑)
どこか銃床仕上げに通じるものがありますよ。
パキはどこかで必ず泣かされるのですが、半分楽しく、半分意地でやっている部分もありますよ。(笑)
Iさん
なるほどw
でも手を入れれば入れるほどに
いつしか愛着がわいてきそうじゃないですか?
未完成な物(者も含むw)の魅力って
そんなとこにあったりしますよね(*^^*)
koiwai
Iさん
コメントありがとうございます。
その通りですね。
未完成だからこそ、新しい発見があったり工夫が出来るのだと思います。まぁ泣くことの方が多いですが…(笑)
お客様の大切なパイプですが、喜んでいただきたい一心に作業していると段々と感情移入していきますよ。不思議です。
ハイランドパイプの魅力って、いろいろな材質が使われている分、対応も様々なのでその辺が楽しいのかも知れませんね。
モノも人も完璧では面白くないですよ~
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