パキスタン製バグパイプの修理とメンテナンス

先日T樣よりパキ製パイプの修理依頼を受け、荷物が届きました。

 

そして、延べ昨日の明け方から今日の未明にかけて作業を行いました。

荷を開けると思った以上にイッちゃているパイプが現れました。

T樣はある方からこのパイプを頂いたとの事ですが、あちこち相当傷んでいます。

まずは2つに割れてしまったパイプチャンターです。

 

合わせ目がしっかり残っているのが救いですが、複雑に噛み合っているため細長く伸びた部分がうまく入れられません。

また指穴のAのホールにもまたがっているので、噛み合わせには難儀しました。

うまく合わさったところですかさず接着です。そして十分乾いたら合わせ目をならしていきます。

私にとってはこの均一になるようにならしていくのが醍醐味なのです。実際作業していて楽しいですね。

各種ヤスリ・各番サンドペーパー・指先の感覚を使って下地が出来ました。

まだ太陽が登ったところで朝露も残っているので、すぐに塗装は出来ません。昼頃が良いでしょう。

元々黒のペイントによるグロス仕上げになっているので、同様に施します。

チャンターの塗装の前にやっておくべき事は、パイプバッグの点検と補修、それにシーズニング(目止め)です。

ビーフジャーキーのように硬くなってしまっているパイプバッグを、カバーから外さねばなりません。

双方が一心同体のようにくっついてしまっているので、これまた取り外すのに難儀しました。

やっていて鼻がムズムズしてくると思ったら、ジャ~ン!何とカビだらけではありませんか!(汗)

干物のような姿に「何とかしてあげよう」、という気持ちが更に強くなってきました。

まずはこのカビを何とかしなければなりません。作業的にも衛生的にも…

カビ君、相当気合入れていたようで、豚毛ブラシ程度では撫でているに過ぎません。(笑)

ならば真鍮ワイヤブラシの登場です。

もちろん外で作業するのですが、蚊が大勢で寄ってくるので脇に殺虫剤をはさんでいます。ブラッシングの間、30秒に1回はスプレーしていたと思います。(笑)作業中は絶えず周りを見回しています。まるで大戦中のアメリカ軍のB-17爆撃機の機関銃手のように、絶えずドイツ軍戦闘機に注意を払っている感じです。(ちとマニアック過ぎますが…)

30分くらいかけて丁寧にカビ君を除去しました。

お次はパイプバッグの点検です。あれだけ放置されていたのですから、それなりのダメージはあるはずです。

案の定、有ってはヨロシクナイ部分を見つけてしまいました。

目で確認できるだけで2つ穴があいています!(痛)おそらくここの周辺はあちこちあいているのでしょう。

ゴムシートとゴム糊で、ヘラを使いながら空気が漏れそうな部分を全周に渡って埋めていきます。

1度の塗布で最低4時間くらいは作業が出来ません。

やっと乾いて固まったところで、今度は「シーズニング」の作業が待っています。

シーズニングを温めて溶かし、各ストックにゴム栓をしてから内部に流し込み固まったパイプバッグを入念にもみほぐしていきます。

そして逆さに吊るして余分なシーズニングオイルを取り除きます。入れたオイルは肌色なのに、捨てる時はナント紺色!でした。これもしばらく時間がかかりそうです。

そうこうしているうちに、塗装の時間がやってきました。

いきなり噴きかけるのではなく、よ~くスプレー缶を振ります。違うものに吹いて少し安定させてから取りかかります。

昼になっても蚊の攻撃は止みません。片目でチャンター、もう片方で蚊の監視…(笑)

一度に吹くとダレるので、塗装する際は遠すぎず近すぎず少しずつ吹いていきます。

ある程度乾くまで入念にチェックします。(この時に蚊が来てくれると余裕で迎え討てるのでありがたいのですが)

出来上がってからは十二分に乾燥させます。塗料内部まで乾くのは意外と時間がかかるからです。

この間に各パイプのメンテと養生を行います。

木部にはたっぷりとオイルを染み込ませ、艶のないニッケルにはコンパウンドで磨いていきます。&各ジョイントの部分も麻糸・テフロンテープで調整します。

大丈夫そうなので、パイプチャンターへ更にコンパウンドを付けて表面仕上げをします。

これによって塗膜の凸凹が均一になり、輝きが安定するのです。

これでパイプチャンターは終了です。

パイプバッグにはこの後何度も手こずりましたが、3度のシーズニング・5度のゴム糊による空気漏れ処理をした結果、ようやくパイプバッグがまともな状態になりました。やはりパキのバッグはクセモノですね。

このパイプ、少し元気が出てきたように感じ私としては嬉しいです。

いろいろ待っている時間があったので、先にご紹介したポリ製パキパイプのマウスピースを改造?しました。

私には長すぎるのでおおよそ5cmカット、その分太くなってしまったので吹き口を楕円にして咥えやすいようにしました。

自分用なので実用主義の一点張りです。仕上げがキレイでないので恥ずかしいですが…(汗)

 

家の中から忘れ去られていたカンモアの合成バッグが出てきたので、組み込んで吹いてみました。

偽「リトルマック」の空気弁はやっぱりダメでした。空気戻ってくるし更に弁が小さいので、効率悪すぎます。

ドローンとチャンターは特に一般的なパイプのようでした。特にドローンは本場のポリ製にも引けを取りません。

というか、音の差がわかりませんね。改めてお買い得なパイプでした。

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