McLEODチャンターの修理

先日、楽器のレンタルをされているある会社の方からお問い合わせがあり、

貸出先でチャンターを破損させてしまったとの事でした。

早速そのチャンターを送っていただき、拝見しました。

ブラックウッドのチャンターはかなり薄くくり抜いています。

頭の部分(ボウル)を握っていれば問題なく取り外しができますが、

誤って下の方を握ってまわしてしまうと殆どの場合折れてしまいます。

構造的にとてもデリケートで、特にひねりに対してとても弱いのです。

ブラックウッドのチャンターを使っているバグパイパーは、皆さん神経を使っています。

このチャンターのボウルのすぐ下には「McLEOD FORFAR」刻印されています。

ブラックウッドの色も濃くて、古き良き時代のバグパイプが伝わって来ます。

折れてしまってはいますが状態はとても良く、黄色のソールも変色しておらず

大事に扱われていたんだなって感じがしました。

このチャンターをしばらく眺めながら、他の部分も思い描いていました。

早速折れた部分の修理に入ります。

結構大きめにカシャッとUの字状に折れています。

特に破片が無くなっているわけではないのですが、折れた境目が部分的にエッジがありません。

この修理で大事なのは、再び取れてしまわない強度な結合とつなぎ目を極力見せない事です。

強度な結合は出来たとしても、完璧につなぎ目がわからないようにするのは至難の業です。

つなぎ目のエッジが取れてしまっているで綺麗に合わせても窪みが生まれ、

光の反射が変るのでどうしても目立ってしまうのです。

無理して木片を詰めようにも窪みが小さすぎて接着剤の跡が残ってしまいます。

そのあたりの仕上げ加減が難しいと思います。実際、仕上げには時間がかかりました。

ソールは元々接着されていないので、ここはヘンプとビーズワックスで止めるのみとしました。

人様のものですから、他を傷つけないように細心の注意が必要です。

私のではないものを直に手にする事が出来るのでそこが楽しく、

お客様に喜んで頂きたい一心でワクワクしながら作業しています。

2件のコメント

  1. suzume

    いつもながら、お見事。
    近頃、koiwaiさんに影響されたせいか、楽器のメンテをやっています。
    この土日は、ローズウッドのパイプ2台にオイリングをしました。
    どちらも初めてのメンテナンスでしたが、手入れをすると何故か、可愛くなってしまいますね。
    心なしか、音も良くなったような気がしました。

  2. suzumeさん

    コメントありがとうございます。
    褒めていただき嬉しい限りです!
    影響されたなんて…でも楽器の手入れは大切ですよね。
    私の場合、単なる楽器のメンテナンスではないのです。
    それをする事で気持ちが繋がるというか、信頼関係ができるというか…
    敬意を払いたい感覚です。
    例えば愛するペットの犬にシャンプーしてあげる気持ちというような思いですかね。
    やっぱり私は「バグパイプ馬鹿」ですね。(笑)

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