パキスタン製アフリカン・ブラックウッド・プラクティスチャンター

先日、海外オークションでパキスタン製のアフリカン・ブラックウッドのプラチャン(ロングタイプ)が、メーカー品のポリペンコ製レギュラータイプよりも安く出品されていたので勉強がてら落札してみました。
出品画像は、しっかりポリッシュされて丁寧な仕上げに見えました。

程なくパキスタンのシルカット市から荷が届いたのですが、欧米と違いその梱包方法にはいつも驚かされます。
以前、違うメーカーのパキ製を輸入した時は梱包がダンボールではなく布!だったのですが、今回はナント「塩ビパイプ」に入っていました。(笑)
まあ、強度的には最強ではあるのですが…

まずは外見チェックです。
マウスピース部分が短く、木部・イミテーションアイボリーのプラも痛いほどエッジが効いています。
イミテーションアイボリー部分の材質はパキ製によくある「粉っぽさ」ではなく、レジンの材質は本場のそれに近い感じです。
ただし、ソールは手垢?の跡が残っていたり、よく見ると底辺の面が一部凹んでいます。(笑)

Koiwai が使っているロングタイプと一緒に並べて比較してみました。(左端がパキ製)

寸法的に一番近いのは、右から3番目のMarr製ですね。
因みに左から、パキ製→モートン→違うメーカーのパキ→マッカラム→ワーノック→エアシャー→マー→ダンカンソウター→日本・パキ製ハイブリッドです。

そして後々面倒なことになった、各ホール(指穴)がザグってあります。(出品画像と違うじゃん!)
ここで問題なのはその加工の仕方です。
工程的には各ホールを決められた位置と直径でドリルで穴を開け、その後に各ホールの直径よりも太いドリルで面取りをします。
ただ穴が開いてあるだけよりも回りが面取りされている方がホールの感触が伝わるので、この加工をしている本場のメーカーがいくつもあります。
丁寧に行えば綺麗に仕上げられるのですが、どうみてもボール盤の回転しているドリルに各ホールを順繰りにテキトーに押し当てて削った感が強いのです。
なので、ホールに対して直角ではない=面取り部分の幅が均一でないのです。
おまけに力任せに押し当てたようなので、面取りが深いうえにズレまくっているのです。(泣)
やはりこのプラチャンもそうですが、加工の「イイカゲンサ」が本当に多く目立つのがパキ製なのです。
プラチャンだけでなく、本体にも同じことが言えます。
イーリアンパイプスをやっている友人のNさんも言っていましたが、「ダメダメだぁパキ~~~!」って泣かされたとのことです。
あと、Dのホールだけ左にずれていますが、押さえる分には問題なかったのでこの部分の修正は見て見ぬふりです。

指を押さえるとどうにうもこうにも違和感が強いので、ここは面倒でも思い切って面取り部分を埋めることにしました。
穴まで埋めてしまうと大変なことになるので、ナイロン製のクリアファイルと綿棒を使って穴を塞ぎました。

全部塞いだら、アフリカン・ブラックウッドの粉と瞬間接着剤でその回りを盛りつけます。
本来なら周囲をギリギリまでマスキングするのですが、自分用なので怠けます。(笑)


Koiwai はアフリカン・ブラックウッドの粉を風邪薬の瓶に詰めたものをその都度紙に盛って使っていますが、もっと工夫すれば無駄がないはずです。
目の細かなヤスリで粉を作るので溜めるのに時間がかかり、手と作業周囲が真っ黒になりますね。(笑)

途中でわかったのですが、ストローを縦に切って使うと簡単にいくらでも細く丸められるので便利です。


瞬間接着剤はボトルのこれを愛用しています。
冷蔵庫に入れておけばいつまでも固まることがないのでgoodです。

同じ瞬間接着剤でも接着出来ないタイプもあるので注意が必要です。

固まったところでペンチで塞いだ部分を引っこ抜き、カッターナイフで大まかに削り取ります。
また、ホール内に付いてしまったところも丸棒ヤスリで慎重に削り取ります。
全く面取りがないのもなんなんで、ほんの少しだけ加工しました。

ここまで来たら、あとはサンディングとポリッシュです。
耐水ペーパーの♯320くらいから始め♯400→♯800→♯1500とやるところですが、自分用なのと早く終わらせたいので♯400から1500で怠けました。

ポリッシュでのコンパウンドは主にこれを愛用しています。
プラだけでなく木にも有効なのと、ほどほど量があるので気兼ねせずに使えるのです。
(物によって更に艶を出させたい場合は「仕上げ用」も使います)

最後は、ホールに入ったコンパウンドを棒ブラシで取り、外部を“Koiwai 特製オイル”、内部も別の特製オイルを摺りこんで終了しました。

肝心の音ですが、アフリカン・ブラックウッド製だけあって甘い音色ですね。
ただ、多くのメーカー製のリードでも High G と High A のズレがひどくて参りました。(笑)
付属してきた3つのパキ製リードでさえ「めちゃくちゃ」な音だったので、出荷する前の検品すらしなかったのでしょう。
持っているリードを総動員して試しましたが、結局テーピングなしでどうにか使えたのがギブソン製でした。
まあ、リードも個体差と相性があるので一概にこのプラチャンだけに非があるとは思えないのですが…
また、懸念していたマウスピースのひび割れですが、出品先に問い合わせした際は「うちの製品の材質は確かなものを使っているので心配しなくて大丈夫!」とのことでしたが、程なくして2箇所からあぶくが出てきました!(泣笑)

今回の感想です。
普通にプラチャンを楽しみたいのであれば、やはりメーカー製が無難です。
値段が安いのでいろいろいじってカスタムアップすることは楽しめますが、パキ製の「大いなる洗礼」は免れません。
いろいろ手を掛ければそれなりになってくれるのと、アフリカン・ブラックウッドの材質そのもは悪くないのでお買い得ではあります。
プラチャンは、指の練習のためのものなのでしっかりしたものであれば材質はあまり関係ないのですが、気軽に使えるポリペンコ製が一番なのかもしれません。
Koiwai のようなモノ好きにとってはオススメです。(笑)

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