R.G.Lawrieバグパイプの修復

ひとり言をサボっていたのでUPしていなかったのですが、
木部の割れの典型的な例をご紹介します。

以前オークションで「ジャンク」として出品されていたパイプがありました。
見たところその特徴から紛れもなく「R.G.Lawrie」製だとわかり入札したのですが、運良くKoiwai 以外誰も入札する人はなかったので競合することなく落札できました。
前にひとり言にUPしたフルイミテーションアイボリー(カタリン製)のR.G.Lawrieとは別物で、マウントとリングキャップがイミテーションアイボリーでフェラルはニッケルメッキ仕様です。
前オーナーは30年くらい前に手にしたようですが、吹いた形跡は殆ど見当たらずまたオイルも与えられていませんでした。
ずっとケースに閉じ込められていたままだったので、経年変化でドローンとブローパイプの一部がケースの内張りとくっついてしまっていました。
丁寧にくっついてしまった繊維を取り、木部へのオイルと各ジョイント部分をメンテし終わったので、Koiwai のもとで静かにリタイアさせていました。

前置きが長くなってしまいましたが、ここから話が始まります。
オイルを十分に与えてはいても急に水分と温度差の影響を受けると、時に木部によってはびっくりして割れを起こしてしまうのです。
Lawrieのパイプはとても軽くて扱いやすいのですが、軽いということは木部が細身で肉厚もそれほどではないことを意味します。
まぁ、一番は木部の性格にもよりますが、変化に強いものと弱いものがあるようですね。
リタイアとはいっても楽器なので吹き込みしてあげたいのですが、オイルを与えたとしても急激な吹込みは割れるリスクが高いことがわかりました。
反省点としては、何十年も吹いていない新品同様の木部は、たとえ表面がニス仕上げしてあっても1週間程オイル漬けした方が良さそうということです。

今回発生してしまった割れは、ブローパイプ1か所、テナードローンストック2か所です。


Koiwai の修復方法は、アフリカン・ブラックウッドの粉を割れ部分に詰めて瞬間接着剤で固めます。
相性が良いので強固に埋めることができます。
画像は加工途中ですが、余計な部分を丁寧に削り取り磨き上げ、最後は表面に合わせてニス仕上げした後軽く磨きます。
接着やニスを施す場合は木部にオイルが付いているとうまく出来ないので、予めペイント薄め液などで拭き取っておきます。

溝の部分の削り取りが一番難関なので、完全に固まりきってしまう前にPカッターなどで大方削ってしまうのがポイントですね。
また、ペーパーがけも細心の注意が必要なので、修復部分の形状や状態に合わせた紙やすりの選定と大きさ、指の動かし方も注意したいです。

Koiwai のオイルを与える目安は、ボアの場合は覗いた時に「白っぽく乾いている」状態です。
特にブローパイプ内部と各ストック内部ですが、ブローパイプ部分だけは格別注意が必要です。
また、表面ですが、これは好みなのでオイルを極力与えたくないパイパーもいるかと思いますが、特によく手が触れる部分が「カサカサ」していたら与えておいても良いのかなって思います。
もっとも、総ポリペンコ製のパイプやブローパイプがプラ製の場合はオイルの必要がないのですが、水分の拭き取りくらいはきちんとやっておいた方が良いでしょうね。
乾燥しやすいこの季節、手肌にクリームを付けるのと同じようにパイプにも十分ケアしてあげたいものです。

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