McCallumバグパイプのメンテナンス

先日、久しぶりに友人のSさんから電話があり、空気漏れの様なので診て欲しいとの事でした。

昨日わざわざ仕事を休んで遠くから来てくださいました。最後にお会いしたのは3年くらい前かな…?

以前Kさんがネーミングしてくださった“Iwai工房”で早速メンテナンスを始めました。

まず問題の空気漏れです。チャンターストック付け根から、ほんの僅かだけ空気の流れを感じます。

この部分は、合成バッグの場合普通はクランプで締めているのですが、革製バッグ用のタイインコードで縛ってありました。

それを一旦全部取り去り、クランプで締めた後保護テープを巻きました。これで空気漏れは解決しました。

次はAirstream製ブローパイプのマウスピースのゴムがボロボロでしたので、新しいものと取り替えました。ついでに元々ついていた普段は使っていないブローパイプも空気出口の内径を広げ、簡単に装着できるバルブが使えるようにして、ついていた固いビニールチューブは歯に悪いので、同じくゴムチューブに取り替えました。これでいつでも使い分けられます。ゴムのプロテクターは消耗品なので、いくつか差し上げてこの部分は終了です。

お次は各パイプの接合部の緩んでいる所、きつくなっている所の調整です。

専用の麻糸とテフロンテープを使い分けながら、硬すぎず緩すぎず巻き直しました。

一息入れたところで、パッカリと割れてしまったマウントの修理にかかります。

これは単に接着すれば済むことですが、いくつかの箇所は大きく砕け散って原型を留めていません。模型の改造などに使うレジンでブロックを作り、削りだしてフルスクラッチすれば何とかなりそうですが、ここは同じパーツを新たに組み込んだほうが確実なので、単に応急処置のみとさせて頂きました。象牙の装飾を模しているイミテーションアイボリーの材質はメーカーによって多少差はありますが、同じプラスチック製なので衝撃には要注意です。と言うか、バグパイプの扱いは優しくしないといけません。

さて、ここからが特に楽しい作業です。それはアフリカンブラックウッドへのオイリングです。

Sさんのパイプは外も中も乾ききっているので、ブラシでじゃぶじゃぶオイルを擦り込みます。「染みてる、染みてる」って感じです。

一回だけでは木が満足せず、何度も“Piper Iwai 特製オイル”のおかわりをあげました。(笑)

お次はフェラルとチューニングピン、リングキャップのニッケルパーツのポリッシュです。

McCallumのパイプはいくつかのバージョンがあり、数多くのタイプが存在します。

Sさんのパイプは金属部分が全て機械彫りで、細かく装飾されていてとっても綺麗なのです。

ただこの部分もかなり艶を失っていたので、シルバー用の艶出し剤とクロスでせっせせっせと磨いていきました。

最後はシルク調のコードをバランス良く縛り直しました。

おおよそ3時間半くらいかかりましたが、これでやっとメンテナンス終了です。

Sさんに終わったばかりのパイプをドローンだけで吹いてもらいました。

とても満足されたようで良かった良かった… 

何よりこのパイプが喜んでいることが私にとって嬉しかったです。

参考(彫刻のデザインが違います)

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